事業等のリスク
本ページでは、当社連結企業群における事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。
■リスクの目安
影響 | レベル | 顕在化可能性 |
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事業撤退の可能性がある | 高 | 数か月から1年で発生する可能性がある |
事業計画の見直しが必要になる | 中 | 直近では低いが数年後に発生の可能性がある |
影響は限定的 | 低 | 可能性は低いが注視が必要 |
以下の各項目をクリックして頂くと詳細をご覧いただけます。
(1) 事業環境に関する事項
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当社グループの事業は、対面決済、すなわち消費者が商品やサービスの提供を受ける現場において、対価をキャッシュレスで支払う行為を対象としているため、各種店舗や施設、イベント会場等に向けた決済端末の販売を行っております。決済端末を設置する加盟店は多種多様に及び、リスクの分散が図られていると考えておりますが、景気悪化のほか紛争、事件、事故、災害、異常気象、感染症のまん延等の要因により、大規模な店舗や施設の開発計画が変更になり、また大規模イベントが中止になるなど、大口の販売計画を見直す必要が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、決済代行サービスは、経済環境の変化及び雇用情勢の悪化に起因する個人消費の低迷に影響を受けます。消費税増税、所得税率や固定資産税等の引上げ及び社会保険料の負担増等のほか、上記の経済環境悪化要因によって、個人の消費に対する抑制心理が働いた場合、クレジットカード決済等の取扱高減少により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、このような場合でも影響を最小限にすべく、販売計画の進捗管理を徹底し、代替案を含む新規の案件積上げに注力しております。
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近年、キャッシュレス決済市場においては、各国際ブランドのクレジットカード決済にとどまらず、多様な決済手段(デビット、各種電子マネー、各種ポイントカード、銀聯)が登場しております。さらに、訪日外国人のニーズに対応した新たな決済手段(Apple Pay、QRコード決済)、中国系決済手段(AliPay、WeChatPay)も登場しております。競争の激化に伴い、当社の施策が想定どおりに奏功しない場合、収益を確保できず、優良取引先との取引状況に変化を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、このような状況の中、お客様のニーズに合致した端末やサービスの開発・提供等を通じ、競合会社との差別化を実現し、成長性と収益性を確保する方針です。
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当社グループが国内において対面決済サービス事業を行う上で、適用を受ける特定の法規制等はございません。ただし、会社法をはじめとする会社経営に関わる一般的な法令諸規制や個人情報保護法の適用を受けております。決済代行サービスにおいては、2018年6月1日に「割賦販売法の一部を改正する法律」(「改正割賦販売法」)が施行され、本改正に伴う加盟店に対する管理等が強化されました。現状、本改正が当社グループの業績に直接影響を及ぼすものではありませんが、同法がさらに改正され加盟店管理に対する更なる強化が実施された場合、その内容によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の重要な契約の締結先であるクレジットカード会社は、犯罪収益移転防止法の適用を受けており、当社の加盟店の中には特定商取引法の適用を受ける先があります。これらの法律の適用を受ける当社グループの取引先が法令に違反した場合や行政の指示・指導により事業に制約を受けた場合、当社グループが取扱う決済処理件数や決済処理金額の変動等を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。今後クレジットカード業界に関する規制、及び当社グループのお客様である加盟店の事業に関連する規制等の制定により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社では、現時点の法規制等に従って業務を遂行しており、また、弁護士や外部諸団体を通じて新たな法規制及び加盟店を含めた取引関係先の法規制改正の情報を直ちに入手できる体制を整えております。
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新型コロナウイルス感染症により、海外においては都市封鎖や経済活動の停止、国内においても営業自粛要請や移動自粛要請が行われるなど、国民経済に影響を及ぼす事態が発生しました。こうした状況は前述「①経済環境の変化等について」、後述「(2)①決済端末の調達、販売について」に記載のとおり、端末販売においてはメーカーにおける生産体制の変化や加盟店における店舗開発計画の変更を通じて、また手数料収入においては決済処理件数やGMV(決済処理金額)の減少を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。今後感染症の流行再拡大や感染防止対策の長期化により、メーカーや加盟店の稼働状況や個人消費の動向に及ぼす影響が増大した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。こうした状況に対し、当社グループでは先々の端末需要を勘案して安全在庫の確保を行い、端末販売の新規案件獲得に努め、多業種加盟店の確保により特定業種の加盟店に依存しない形で決済サービスの提供を行っていること等により、当社グループ業績への影響を最小化すべく対応しております。また、対人接触機会を減少させる自動精算機等の無人決済機については、感染拡大防止策として需要の増加も期待できると考えております。
(2) 事業活動に関する事項
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経済安全保障(注1)、地政学的リスク(注2)の顕在化、自然災害や感染症等の要因によりメーカーにおいて決済端末の生産体制に支障を来たすような事態が発生した場合のほか、当該メーカーの事業撤退、又は他社に買収され、これまでの事業戦略が見直しされるなど予期せぬ事象が発生した場合は、決済端末の調達が困難になり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社は、国内及び海外双方のメーカーに対して、品質・セキュリティの観点で精査・管理を行った上で端末を仕入れており、複数のメーカーと調達契約を締結することで、購買ルートの分散を図っております。
(注) 1.経済上の措置を講じ、国の平和と安全や経済的な繁栄等の国益を確保すること。
2.国際情勢の複雑化、社会構造の変化等に伴う企業の経済活動を害するリスク。 -
当社グループは、実際に端末を利用する加盟店に対して直接営業活動を行う場合もあるものの、主にはアクワイアリング事業者等に対して営業活動を行っております。したがって、当社グループの加盟店開拓はアクワイアリング事業者等の加盟店開拓力に依存しております。そのため、アクワイアリング事業者等における加盟店獲得活動に遅れ等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各アクワイアリング事業者等と日頃から密に連携し、加盟店の動向や市場環境を把握して、加盟店の多様なニーズへ柔軟に対応し商品やサービスを提供しております。このように、各アクワイアリング事業者等と長期的な信頼関係の維持・向上を図り、加盟店開拓を進めてまいります。
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当社グループの事業は、コンピュータシステムに高度に依存しており、各種データ処理等を行うデータセンターは、システム事業者に業務委託しております。そのデータセンターは、耐震・防災設備を施され、入出館管理でのセキュリティ対策も実施されております。また、システムは、フォルトトレラントと呼ばれる無停止システムを採用するとともに、バックアップ・データを確保して、適宜復元テストを行っております。定期的にマネジメントレベルでの会議を開催して、課題を共有して、運用の安全性を確保しております。しかしながら、想定を超えた災害等が発生した場合又は悪意のある攻撃を受けた場合には、システムに重大な支障が生じる可能性があり、システムの信頼性低下や、決済業務への支障を招く可能性があります。また、不正な手段を用いて決済が成立してしまう等の事象が発生した場合、加盟店やカード会社等から補償を求められる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではこのようなリスクへ対応するため、保全策を講じるとともに、不正を検知した場合には速やかに対応を行い、必要に応じて遠隔で端末に対して修正を行う事も可能な体制を取っております。
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三井住友カード株式会社が、GMOペイメントゲートウェイ株式会社、ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社及び当社と協働し、決済プラットフォーム「stera」を構築して積極的な営業展開を行ってきた結果、三井住友カード株式会社の売上は当期売上の46.9%を占めております。万が一、同社との協働体制に変化があった場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、各アクワイアリング事業者等と日頃から密に連携し、加盟店の動向や市場環境を把握して、加盟店の多様なニーズへ柔軟に対応し商品やサービスを提供しております。各アクワイアリング事業者等と長期的な信頼関係の維持・向上を図ります。
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大規模災害やテロ活動等が発生した場合には、当社グループの事業運営又は事業継続に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、災害やテロ活動等の発生を想定し、顧客及び社会に対する責務を最大限円滑に遂行するため、業務継続体制に関連する規程及び業務継続計画(BCP)を制定し、教育・訓練を実施しております。
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当社グループは、クレジットカード決済において株式会社エヌ・ティ・ティ・データが運営するCAFIS、株式会社日本カードネットワークが運営するCARDNET、及び国際ブランドのVisaが提供するVisaNetを利用することにより、決済処理サービスを提供しています。万が一、これらのネットワークの一つにおいて利用が困難になり、決済処理サービスに問題が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような状況への対処として、利用可能な他のネットワークに接続することが可能ですが、切り替えの際に仕様変更に迅速に対応できない場合や多額の対応費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
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当社グループのビジネスを支えている最大の資産は人材であり、各種サービスの品質向上、新規サービスの企画・開発のためには、優秀な人材の採用・育成・モチベーションアップが欠かせません。しかしながら、人材獲得競争の激化により、優秀な人材の獲得が困難となった場合、又は在職する人材の社外流出が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組み」に記載のとおり、パートナー一人ひとりが能力を最大限発揮できる環境を作ることにより人材の流出を防ぐとともに、専門的な知識を有する人材の獲得を継続してまいります。
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当社グループの事業の急速な拡大に伴う事務量の増加により、事務手続きのミスが起こる可能性があり、当該手続きのミスに起因し取引先から訴訟等が提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、事務手続きの標準化及び文書化を推進するとともに、社内規範の整備や業務プロセスの改善を進めております。またAIや外部専門企業の知見を活用することで、作業負担の軽減及びデジタル・トランスフォーメーション(DX)の促進に取組み、事務手続きの効率化とミスの防止に努めてまいります。
(3) 経営上の重要な契約に関する事項
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当社グループは、クレジットカード会社と加盟店間の加盟店契約において、加盟店代理契約を各クレジットカード会社と締結しております。万一、クレジットカード会社から契約解除の申し出や条件変更等の接続制限がなされた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、常日頃から主要クレジットカード会社とは緊密に連携をとっております。
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当社グループは、加盟店のクレジットカード決済業務に係る事務を代行することを目的として、各クレジットカード会社と包括加盟に関する契約を締結しております。決済代行サービスにおいては、クレジットカード会社が加盟店に対して行う売上代金支払いを当社が代行して、当社グループの責任範囲で行います。当社グループと包括加盟店契約を締結している加盟店が不適切な販売等を行ったことが露見して、消費者がクレジットカード会社に対して債権買戻請求を行い、クレジットカード会社が請求額を消費者へ返還した場合、クレジットカード会社は当社グループとの加盟店契約に基づき、当社グループに対して債権買戻額を求償することとなります。この場合、当社グループはその額を加盟店へ求償しますが、加盟店の倒産等により、資金が回収できない場合には、その損害を被る可能性があります。また、特定継続的役務を提供する加盟店では、未消化役務残に関連するリスクが存在します。サービス提供完了前に加盟店が倒産等に陥った場合、未消化役務に対する返金請求がクレジットカード会社経由で当社に求償される可能性があります。このようなリスクを回避するために、当社では加盟店の入会時にクレジットカード会社の審査とは別に、電話による本人確認、登記簿謄本・納税証明書の徴求、営業許可証の確認等を行うとともに、月毎に滞留債権管理を実施しております。併せて、クレジットカード会社から債権買戻請求発生の可能性ありとの連絡を受けた場合は、直ちに加盟店の状況を調査し、売上金を留保するなど必要な措置を講じております。
当社グループの親会社であるGMOペイメントゲートウェイ株式会社(以下、「GMO-PG」という。)は、当社の発行済株式総数の56.5%(2024年9月末現在)を保有する筆頭株主であり、オンラインショッピングによるクレジットカード等の決済代行事業、金融関連事業及び決済活性化事業を行っております。また、GMO-PGの親会社であるGMOインターネットグループ株式会社は「すべての人にインターネット」というコーポレートスローガンのもと、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業、インキュベーション事業を行っております。当社は、独自に経営方針・政策決定及び事業展開についての意思決定を行っております。しかしながら、同社は、当社の筆頭株主として基本事項に関する決定権又は拒否権を保有しているため、当社の意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。
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親会社であるGMOインターネットグループ株式会社及びGMO-PGが、経営方針及び事業展開方針を変更した場合には、将来的に競合する可能性があり、当社の事業や業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、GMOインターネットグループ各社において、キャッシュレス決済市場における唯一の対面決済サービス事業を担う会社と位置付けられており、GMOインターネットグループ各社とは事業の棲み分けがなされております。決済のキャッシュレス化・オンライン化の進行に伴い、当社グループが関わる決済ビジネスは、対面決済領域(当社グループ)と非対面決済領域(GMO-PG)が連携しながら大きな変化を遂げてきており、それに伴って事業機会も益々増大しております。お互いが強みを発揮し事業成長を目指すことに加えグループシナジーの実現に最大限の努力をすることが親会社を含むグループ全体の成長、そして当社グループの成長率及び成功確度を高めることができるものと考えております。
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2024年9月期における、当社グループのGMOインターネットグループ各社との取引について、当社の連結収益に係る取引総額は477,451千円、費用に係る取引総額は365,053千円であります。親会社との取引については、一般株主との間に利益相反リスクが存在しますが、当社グループは実効的なガバナンス体制を構築することによって、一般株主の利益に十分配慮した対応を実施しております。詳細は有価証券報告書に記載の通りです。
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当社グループは、2017年1月よりGMOインターネットグループ株式会社と「GMO商標権・ブランド」使用許諾契約を締結しております。当該契約は、当社及び当社子会社であるGMOカードシステム株式会社、GMOデータ株式会社がGMOインターネットグループ株式会社とそれぞれ締結しております。
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2024年9月30日現在における当社の役員9名(取締役5名、社外取締役(監査等委員)4名)のうち、GMOインターネットグループ各社の役職者を兼ねる者は1名であり、豊富な経営経験から、当社事業に関する助言を得ることを目的として招聘したものであります。なお、当社における役職、氏名及び同社における役職は以下のとおりであります。
当社役職:非常勤取締役 小出 達也
GMO-PG役職:上席専務執行役員 インダストリーソリューション本部本部長 -
当社グループの事業展開にあたっては、親会社等の指示に基づいて行うのではなく、一般株主と利益相反が生じるおそれのない独立役員、及び過半数を占める専任役員を中心とする経営陣の判断のもと、独自に意思決定して実行しております。
(5) その他
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当社グループは、現時点において、係争中の訴訟を有してはおりません。しかしながら、今後、当社の事業分野において、第三者が当社より早く特許権・著作権・その他知的財産権が認められ、当社に対して高額の対価、損害賠償、又は使用差止等の請求を受けた場合や予期せぬトラブルの発生等により訴訟を提起された場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。このような事実が判明したときは直ちに、事例に応じて、弁護士・弁理士等と連携し解決に努める体制が整っております。
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当社は、2016年9月にグローバルカードシステム株式会社(現GMOカードシステム株式会社)のすべての株式を取得しており、のれん及び顧客関連資産を計上しております。なお、顧客関連資産については当連結会計年度で償却が終了しております。当該のれんについては、将来の収益力を適切に反映しているものと判断しておりますが、同社の将来の収益性が低下した場合には、当該のれんについて減損損失を計上する必要が生じ、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。当社としては、引き続きGMOカードシステム株式会社と連携し、売上・利益の向上を目指してまいります。